不動産、生前贈与、生命保険等を活用する場合

不動産を活用した相続税の税金対策

1、不動産物件を購入し、かつ他人に賃貸することで財産評価額を下げる

不動産を活用した相続税の税金対策財産を現預金として持ったままではその金額に相続税が課税されますが、建物や土地に不動産投資することで評価額が下がります。

具体的には建物の相続財産評価額は、「固定資産税評価額」というもので評価がされます。

固定資産税評価額とは、地方税法の規定によって総務大臣が定める固定資産評価基準に基づき、市町村が決定するもので一般的に、建築費用の50〜60%程度の評価となることが多いです。

一方、土地の相続財産評価額は「路線価方式」と「倍率方式」という方法で評価されるのですが、路線価方式だと地価公示価格の約80%、倍率方式だと約70%で評価されています。このように不動産投資するだけで評価額を下げる事が出来、その分相続税の節税に繋がる事になります。

また、不動産物件を購入し他人へ賃貸すると建物については借地権部分の30%が評価額カット、土地については貸家建付地(賃貸用の建物を建てて、他人に貸している場合の土地)となり、15%が評価額カットされます。

加えて土地については貸付事業用宅地として小規模宅地減額の特例制度が使えますので、200㎡まで50%カットで相続評価がされます。

(具体例)

1億円の現預金をもって、土地6,000万を購入してその上に建物4,000万を建てて、不動産投資し他者に賃貸している場合

  • 建物 4,000万×60%×(1-30%)=1,680万円
  • 土地 6,000万×80%×(1-30%×50%)=4,080万
             4,080万×(1-50%)=2,040万

となり、元々1億円だった現預金が不動産投資をすることで3,720万(1,680万+2,040万)まで約60%カットで相続評価できることになります。

 

生前贈与を活用した相続税の税金対策

1 毎年110万円の贈与

安心かつ安定的に相続税の税金対策になるのは110万円の基礎控除を活用した毎年の生前贈与です。

生前贈与とは、被相続人が死亡する前に、お子様などの相続人等に財産を渡すことを言います。贈与税には年間110万円の基礎控除という無税の範囲があります。つまり、毎年毎年110万円以内の贈与を行えば贈与税を払わずに生前贈与をすることができるというわけです。

このように生前贈与で、相続発生時の相続財産の額を減らし、相続税の納税額を減らしていこうとするのが110万円の贈与税の非課税枠を活用した相続税の税金対策です。

例えば、子供や孫などの合計5人に毎年110万円ずつ、10年間にわたって贈与した場合でも贈与税は0円ですが合計で3,850万円もの相続財産を減らすことができます。(※相続開始前3年以内の贈与は無かったものとされますので7年分です)

また贈与を受けた側は非課税で金銭を受け取るので、来る相続に対しての納税資金対策にもなります。

 

2 あえて毎年110万円以上の贈与で大幅に税金対策

財産が3億円超もあるような場合の生前贈与対策です。相続税は累進税率といって財産が大きくなるほど税率も高くなる制度で計算されます(最低10%~最大55%)。贈与税も同様に累進税率なのですが、贈与税は贈与する額を決められるので、税率も選択できることになります。要するに最終的にこのまま何もしないと、相続税が40%で課税される方の場合は、40%未満の贈与税率であれば贈与税を支払ってでも110万円を超えた大幅な贈与により生前贈与を進めた方が有利となるのです。

具体的なケースで節税効果を見てみます。

相続人3名で財産総額5億円の場合、将来の相続税は約1憶3千万円(相続税率は約40~45%)です。

そこで税金対策として1年に500万円ずつ計1000万円を子供2人に生前贈与します。

対して500万円に対する年間贈与税額は48万円(贈与税率は15%)ですので、2人分で96万円の贈与税を支払います。

贈与税の支払が先行するので損した気分になるかもしれませんが、実際には税率差があるので贈与税を払ってでも早めに生前贈与してしまった方が最終的に支払う税金は少ないことになります。

 

3 相続時精算課税制度の適用

相続時精算課税とは、60歳以上の直系尊属(父母、祖父母)から、20歳以上の子や孫へ合計2,500万円までの財産を贈与税非課税で生前贈与できるという制度です。子供や孫が起業するので資金を出してあげたいなど、生前に一気に多くの財産を贈与したい場合には適した制度です。

ただ、注意しておきたいのは、相続時精算課税制度を活用して生前贈与した財産は、相続税申告の際には、贈与時の価額で相続財産に含まれて相続税が課税されるという点です。要するに生前贈与したから相続税には関係ないというわけにはいかないという事です。

ですので一番ベストなのは、元々それらの財産を考慮しても相続税がかからない範囲の人(相続税の基礎控除範囲内に収まっている人)であれば贈与税非課税のメリットを受けられることになります。では使えない制度なのかというとそうではありません。

相続税がかかるくらいの財産がある人でも「将来値上がりする可能性が高い財産」を生前贈与するのであれば節税になる場合があります。なぜなら、相続税計算の際に持ち戻す財産の額は「相続時」ではなく「贈与時」の金額とされているからです。また収益物件をお持ちの方にも有効に相続税、所得税の節税及び納税資金の確保にも使えます。

なお、相続時精算課税を選択した場合、2,500万円までの生前贈与は何回に分けて行ってもかまいませんが、もし2,500万円を超えてしまった場合は一律20%の贈与税がかかる事、一度この相続時精算課税制度を適用してしまうと上記1の110万円の生前贈与は活用できない事も注意点です。

 

4 住宅取得資金の贈与税の非課税

住宅取得資金の贈与税の非課税制度を活用して相続財産を減少させる方法です。

住宅取得等資金贈与の特例とは、子や孫が直系尊属である父母や祖父母からの資金贈与を受け、家を新築、購入又は増改築等(以下、「新築等」といいます。)をした場合に、その一部の贈与税が非課税になる制度のことです。(現在最高1,200万円まで非課税)家の新築等を行う場合のその家の敷地である土地等の取得のための資金も含まれます。

適用要件や金額には定めがありますが、要件は厳しくはありません。適用を受ける事ができれば贈与税はもちろんのこと、相続税の生前贈与としても活用することが出来ます。

子や孫の住宅取得に際して資金援助をする場合にはぜひ適用を受けたい制度です。

 

生命保険金等を活用した相続税の税金対策

生命保険の非課税枠を活用した方法です。生命保険の契約者と被保険者が同じの場合には、生命保険金はみなし相続財産となり相続税の課税対象となります。しかし、相続人が取得した生命保険金については、500万円×法定相続人の数までは生命保険金に相続税は課税されません。

たとえば、被相続人に配偶者と2人の子がいる場合、法定相続人は3人となりますから1,500万円まで生命保険金を受け取っても相続税は非課税となります。被相続人が現金預金として1,500万円持っていたら相続税が課税されてしまいますが、一時払い終身保険等で全額生命保険に加入した場合にはその1,500万円は手元からなくなり生命保険金に変身します。それを残された相続人が受け取った場合には相続税が課税されず受け取れるというわけです。

また、生命保険金は本来の財産ではないので、遺産分割協議が必要ありません。よって面倒な相続手続きを踏まずに入金がされる点、生前に、誰に、いくら渡したいという決め事ができる点からも、非常に相続への活用がしやすいのも特徴です。是非、法定相続人の数×500万円までの生命保険には加入しておきましょう。

 

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