あけましておめでとうございます。愛媛県西予市宇和町の税理士 古谷佑一(ふるやゆういち)です。
自分は何だったのか?を問う場面に出会った
毎年正月には大学時代の友人と会食をするのですが、その場で将来は税理士になりたいという夢を持った少年に会いました。
大学時代の友人の息子さんです。
この春から大学生になるそうで、簿記が楽しくて、それを活かした仕事に就きたい、と話してくれました。
もちろん、まだまだ知らない職業もたくさんある中で、その夢がこの先も続くのかは分かりません。
これからの大学生活で魅力的な仕事に出会えばそちらを選んでもOKでしょう。
でも、彼のその話を聞いたとき、ふと「自分のスタートラインも、確かにそこだったな」と思ったのです。
だから今さらですが、年始っぽく「私が税理士を目指そうと思った理由」について書いてみようと思います。
勉強が得意でなかった中高時代と簿記との出会い
私は本当は普通科高校に行きたかったのですが、中学時代の成績が振るわず商業科に進みました。
中学三年時の三者面談で先生に言われて、母親の前で本当に申し訳ない気持ちになったのを覚えています。
だだそこまで裕福ではなかったので、絶対に県立高校には行かないといけない。だから勝負はせず、置きに行くつもりで商業高校を受験しました。
今となってはそれが正解でした。そこで簿記と出会ったのが私の転機だったと思います。
数字がきれいにつながり、パズルのように整っていく感覚。
国社数理英のどれとも違う勉強内容に「これ、面白いな」と素直に思いました。
そして、これを活かした仕事に就けたらいいな、という気持ちも、確かにありました。(←彼はきっと今、ここですよね)
税理士を明確に意識し始めた大学時代
ただ、私はその気持ちは高校卒業と同時に薄れていきます。
なんとなく地元の大学に進み、なんとなく毎日を過ごし、バイトをして、彼女を作って、遊んで……目的のない日々を繰り返していました。
もちろんその日々がこうやって40歳を過ぎてもお正月やお盆に会う友人を作ってくれたので後悔は全くありません。
税理士という夢が再燃したのは、周りが就職活動を意識し始めた頃です。
私は昔から、そして今もですが、人とのコミュニケーションが得意なタイプではありません。
大勢の中で大きな声で意見を言ったり、周りを蹴落として手柄を取ったりすることが、どうしても苦手でした。
そんな自分が「このまま一般企業に就職して、営業や管理職をやっていけるだろうか」そう考えたとき、答えは明確に「NO」でした。
だからこそ、自分はこれだ、と言える専門家にならなければならないこの分野なら誰にも負けない、という軸を持たないと生き残れない。
そう強く感じたのです。
幸い、税理士試験の入口は簿記。高校時代に得意だったので2年ほどブランクがあってもすぐに勘が取り戻せました。
もう一つ、あまり格好のいい話ではありませんが、経済的な理由もありました。
実は私は叔父が大阪で税理士をしており、たまに会うと「お金持ちなんだな」と子供ながらに感じていました。
話しぶり、身に着けているもの、乗っている車等々から滲み出ていました。
一方で、私の父は優しくていい人ではありましたが、仕事や人付き合い上手な人ではなく、そのくせ見栄っ張りで、家計は常に苦しかった家庭でした。
そんなある日、実家で父の若い頃のアルバムを見つけました。
そこに写っていた20代くらいの父の顔が、驚くほど当時の自分にそっくりだったのです。(親子だから当然ですが…)
その瞬間、強烈な恐怖を感じました。
このまま何もせず、なんとなく就職して、なんとなくサラリーマンを続けていたら、自分は父と同じ道を辿るのではないか。
何もできず、
金銭的にも苦しみ、
いつかできる自分の配偶者や子供にも同じ思いをさせてしまうのではないか。
そう思ったとき、「逃げ道を断ってでも、何かの専門家になるしかない」と腹を括りました。
本格的に試験勉強を始めたのは、大学4年生の12月でした。
卒業まで残り4か月というタイミングです。
日商簿記1級の勉強を始め、当時付き合っていた彼女にも、一方的に別れを告げました。
「勉強に集中したいから別れてほしい」
私の誕生日が12月7日、当時の彼女の誕生日が確か12月14日か15日だったと思います。両日は大学生カップルらしく一緒に楽しく過ごし、そのちょっと後に思い立って告げた記憶があるので、今思えば、なんと不器用で、なんと身勝手な話だったと思います。笑
でも、一度すべてをまっさらにして、勉強だけに集中したかった。できない理由や退路を断って挑戦したかった記憶があります。
周りからは「そこまでしなくてもいいじゃないか。彼女が居ても勉強はできるだろう」と言われましたが、自分にはそれしか選択肢がありませんでした。
大学卒業後と初就職してから
そこからは、地獄のような日々でした。
卒業旅行でも、ひたすらテキストを読む。友人たちが楽しそうにしている横で、勉強を続ける。
でも、そうしないと自分の気持ちを保てなかった。正直、人と会うのが本当に嫌だった時期です。劣等感から友人たちに会うのも嫌だった記憶があります。
今思えば、空気の読めない痛い奴だったと思います。そんな私を当時誘ってくれて、今でも受けて入れてくれる友人には感謝しかありません。
その後卒業して同級生たちは就職し、ボーナスで車を買い、恋人と旅行に行く。
一方私は勉強をしながらアルバイトをしていただけなので、月5万円ほどの収入。そのすべてが、専門学校代とテキスト代に消えていきました。遊びに回るお金はありませんでした。
友人の結婚式に呼ばれても3万円のご祝儀を準備するのが精いっぱい。スーツも安物でサイズも合っておらず茶化されたこともあります。カッコいい腕時計も、きれいな靴ももちろん持っていません。
しかもちょうどその頃、妹は荒れ、父は職を転々とし安定せず、家庭は精神的にも経済的にもボロボロでした。
頼れる場所は、どこにもありませんでした。心の拠り所は、専門学校の模擬試験でトップの成績を取ることだけ。
惨めで、苦しくて、今振り返ると胸が少し痛くなる20代前半の記憶です。
だから、なぜ税理士になりたかったのか。なぜ、あれほど頑張れたのか。あらためて問われたとしたら。
全然かっこよくもなければ、きれいな理由でもありません。
「このままじゃ終われない。今に見てろ。絶対に世の中のお前ら全員、見返してやるからな。」
本当に、それだけでした。(誰に強制されたわけでもない自分で選んだ道なのにとんだ被害妄想ですが…。)
働かず試験勉強に専念していた頃は、一日12時間勉強していました。
就職してから受験していた時も、始業前の早朝に職場で勉強してから仕事を始めていました。
もう本当にダメかもしれない、と思ったこともあります。もうやりたくない、逃げたい、と何度も考えました。
結果発表の日、自分の受験番号がなくて、職場でこっそり涙したこともあります。命を懸けているので成人しても負けると涙が出ていました。
それでも、最後に踏ん張って、合格までねじ込めた理由。
それはきっと、
ここでやめたら、これまで我慢してきた自分の人生すべてを否定することになる
そう思っていたからだと思います。
もしあの時、「もう無理だ」と諦めていたら。
安いスーツで肩身の狭い思いをしたことも、
遊ぶお金を我慢したことも、
孤独な時間も、
家族のことで悩んだ夜も、
すべてが「無駄だった」という結論になってしまう。それだけは、どうしても受け入れられませんでした。
簿記が楽しいこれを活かした仕事したい、頑張る世の中の社長を会計からサポートしたいなんて外向きの綺麗でカッコいい夢や情熱は正直、途中からよく分からなくなっていました。
ただ一つだけ、はっきりしていたのは、ここで逃げたら、二度と自分を信用できなくなるという感覚です。
だから、歯を食いしばって続けました。
本当に賢くなかったので、同じ問題集を30回解いて試験に向かっていました。まさに根性論で、不器用で、要領も悪かったですがこのスタイルを貫きました。
そして28歳の時、5回目の受験で5科目合格して税理士試験を終えました。一人暮らしをしていたマンションで一人、ガッツポーズをして一番先に父親に電話して喜びを伝えました。
改めて振り返ると
あの頃の原動力は、ポジティブでも前向きでもありません。
悔しさ。
劣等感。
恐怖。
意地。
でも、人が本気になる理由なんて、そんなもので十分だと思っています。
皆に公開できるようなカッコいい動機なんて中々持てない。
もし今、「自分は何者にもなれていない」と感じている人がいたら。
綺麗な目標がなくてもいい。立派な志がなくてもいい。
「自分はこのままじゃ終われない」その気持ちがあるなら、
それはもう、立派なスタートラインなのだと思ってください。
税理士になった今も、この根っこの部分は何も変わっていません。
原動力は劣等感でしたが、あの時に逃げなかった自分だけは、今でも少し誇りに思えます。
大切な根っこの部分を再度思い出させてくれた、年始の素敵な出来事でした。
税理士 古谷佑一

愛媛県西予市を拠点に、松山、宇和島、大洲、八幡浜など県内各地の中小企業や個人事業主の皆さまに寄り添い、税務・会計のサポートを行っています。クラウド会計の導入支援や資金調達のサポート、相続税申告など、幅広いご相談に直接対応し、分かりやすい説明を心がけています。
中小企業経営のサポートを通じて、微力ではありますが地域振興・地域発展に寄与できればいいなというのが私の想いです。
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